花粉症にもワクチンがあるそうですね。どういうものなのでしようか。もう実用化されているのですか。
花粉症ワクチンは、この章の最初に述べた「舌下減感作療法」に対する、もう一つの方向のものです。つまり、からだに入れる抗原に手を加えて、かたちを少し変えたものにした試みの一つですが、これまで私たちが受けてきた「ワクチン」とは、仕組みが多少違っています。
天然痘やポリオなど感染症のワクチンは、病原体の毒性をなくしたり弱めたりしたものを注射して、体に抗体をつくらせ、その病気にかからないようにします。ただ、花粉症は、花粉に感作された細飽か出す物質によるアレルギー反応ですから、感染症のようなわけにはいきません。 続きを読む
スギ花粉が入っている健康食品を食べるか飲んで、危篤になった方がいると聞きました。舌下減感作療法をやっていた人ではないのでしょうか。
その事件が起こったのは2007年の二月のことです。自宅で、スギ花粉が入っているというカプセルをのんだあとテニスをした花粉症の女性が、急に呼吸困難を起こして倒れました。重いアナフィラキシーを起こしたと思われ、一時は生命の危険さえ心配されたほどでした。
報告をうけた厚生労働省は、四月、スギ花粉を含んでいるドリンクや飴などの「健康食品」をつくっているメーカーに対して、販売の際には、パッケージに、スギ花粉を含んでいることだけでなく、「スギ花粉症の方が摂取した場合、重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性がある」
旨の注意を明記すること、広告やパッケージに、花粉症に効果があると受け取られるような文言をつけないこと、つけた場合は薬事法違反になるから販売中止や回収などを行なうという通達を出しました。 続きを読む
注射が苦手な私に、友人が、スギのエキスを口から入れる減感作療法もあるようだと教えてくれました。どういうものなのでしようか。いいものなら、すぐやりたいのですが、それは可能なのでしようか。
お友だちが教えてくれた、口からスギ花粉エキスを入れる療法は、「舌下減感作療法」といいます。欧米ではすでにイネ科の花粉症などに対して普及している方法で、WHOも1998年に治療法の一つとして推奨し、それを受けて、日本でも私のところや千葉大学などで、臨床試験を
始めている最中です。結果もまずまずで、2012年ごろには認可されるでしょう。ですから、今すぐというわけにはいきませんが、しばらくお待ちくだされば、大丈夫、うけられます。(SLITという名前で、やっているクリニックがありますが、保険がきかない現在、自由診療となっています。その費用は施設によって違っていて、毎月1万8千円~2万円くらいかかるそうです) 続きを読む
検査や、治療のスケジュールなどについて、教えてください。
大事な注意の一つは、花粉が飛び出す、少なくとも3ヵ月ほど前に治療を開始する、ということです。減感作療法の目標である「維持量」(あとで説明します)に達するまで、ふつうのスケジュールでは、どうしても12~13週、3ヵ月くらいはかかりますから、スギ花粉が原因なら、遅
くても秋口の十月ごろには始めたいのです。
私の息子はすっと、ハウスダストが原因の通年性アレルギー鼻炎といわれ、治療もしてきましたが、先日、病院で検査をしてちらったら、スギ花粉にも陽性ということがわかりました。中学受験も近く、できるなら根本的によくしてやりたいし、本人もそう望んでいます。両方の減感作
療法をうけたいのですが、ますハウスダストをやってから、つぎにスギ花粉の減感作をやるのでしようか。それではずいぶん時間がかかり、受験に間に合わないと心配しています。 続きを読む
主治医から「減感作療法」を奨められています。この療法で、私のひどい花粉症が、本当に治るのでしようか。減感作療法は手間と時間がかかるだけで、あまり効かない、クスリでつらい時期だけやり過ごしたほうがいいという話も、ときどき聞くのですが……。
あなたは何をお望みなのでしょうか。結論は、その一言に尽きます。「減感作療法(特異的免疫療法)」は、現在、花粉症を根治させうる唯一の方法で、効かないことはありません。ただ、時間がかかります。また、病院へ通い続けなくてはなりません。
花粉症の症状がそんなに重くなく、クスリやマスクなどで、シーズンをなんとか過ごせているなら、そのままでもいいでしょう。しかし、あなたがまだ若く、花粉シーズンの間、眠れない夜がつづいたり、熱が出たり、お化粧ができないくらい顔が腫れたり、一瞬もティッシュが手離せなかったり、頭痛や腹痛がひどくなったりという、かなり重い症状がっづくのなら、主治医のお奨めのように、一度、減感作療法をお考えになる価値は充分にあります。 続きを読む
以前でた花粉症の本にも、減感作療法がスギ花粉症にあまり効かないと主張する医師が登場しています。この本では、その減感作療法をお奨めになるようですが、以前と違うところがあるのでしょうか。そして、どうして減感作療法は「効かない」ということになったのでしょうか。効かない人にもやっていたからです
なぜ効かないといわれたのか、これはたしかに大問題です。じっさい、「減感作療法」だけが、根治が望める花粉症の原因療法であることは、専門医なら誰でも認めるところなのに、20世紀の初頭に登場して以来、その後、日本では、あまり広まっているとはいえません。そのいちばん大きな理由は、治療に時間と手間がかかるという以上に、これまでの治療成績が、けっしてほめられたものではなかったからです。
その理由も明らかです。
花粉症の治療にはいろいろな方法があり、それぞれにどんどん進歩しているのはわかります。しかし、私の花粉症はよくなりません。今までの対応がよくなかつたかもしれませんが、なんとか私の花粉症を治してください。
私の診察室には、あなたのような患者さんがよく来られます。花粉症が治りづらいと悩まれたり、あるいはちゃんと治したいと考えていらっしゃる方です。ドクターショッピングというのでしょうか、ここで何軒日だとおっしゃる方もいます。病院を変え、医師を変えても、なかなかよくならない……。そういう方に、少し長くなりますがと前置きして、必ずいうことがあります。
それは、これまで「症状は一人ひとりちがう」といってきた、その中身についての、私なりの仮説です。仮説ではありますが、この考えで治療をすると、じっさいに症状が改善されていますから、ただの仮説ではない、と思っています。
治療には、どんなクスリや方法があるのでしようか。選び方もわかりません。教えてください。
どういうふうに治療するかは、あなたのお考えと症状しだいです。
花粉の季節だけ症状をやわらげればいいのか、それとも2度と花粉症にならない「体質」を手に入れたいのか……、そのどちらのご要望にも、私たちはお応えできます。 いずれにせよ原則的には、患者さんご自身にやっていただく「セルフケア」と、医師が行なう「メディカルケア」を車輪の両輪としてやっていくというのが、あらゆるタイプの花粉症に共通する治療方針で、そのどちらにも、患者さんの症状やライフスタイルに応じて、さまざまな方法があります。
病院へ行こうと思いますが、どんな検査や診察をするのか、少しくわしく教えてください。
花粉症に似た病気やアレルギーはたくさんあるし、ほかの原因で症状がつらくなっているかもしれません。それに、診察にもそう時間はかかりません。診察を、流れにそってお話ししましょう。
くしゃみや鼻水などの症状が、本当にアレルギー性のものなのかどうか、それを推測するいちばん大切な診察です。いつから、どんな症状が出始めたのか、どんな症状が強いのか、ご家族にアレルギーやアトピーの方はいらっしやるのかなど、聞き忘れることがないよう、私は39項日の質間が書いてある問診表を手元において、じっくりお話をお聞さしています。主な質問をあげて
おきますので、少なくともこういう質問にすぐ答えられるよう、事前にメモなどをしておいてください。